どれから始める?素材別SMアイテム早分かりガイド
ひとえにSMグッズといっても、その種類は実に様々。可愛いものからおしゃれなもの、おもちゃのようなものから一見本格的に見えるものまで。興味を持ったところで、それぞれ一体どういう違いがあるのかわからない方も多いのではないでしょうか? そんな方々のために今回はSMグッズに主に使われている素材ごとに分けてご紹介。特に拘束具に焦点を当て、素朴な疑問などにもお答えしつつ、それぞれの素材が持つ特徴とおススメアイテムもお教えいたします。
耐久性 | コスパ | 雰囲気 | |
---|---|---|---|
合成繊維系 | ○ | ◎ | △ |
合皮系 | △ | ○ | ○ |
本革系 | ◎ | △ | ◎ |
今回は使われている素材・見た目から上記の3系統に分けました。どの素材にも一長一短があり、ニーズもお客様ごとに異なりますので『○○を買えば間違いない!』ということはありません。順を追ってご説明してまいりますが、未経験でもこれから『SMプレイ』に熱心に取り組んでいく気持ちのある方は、まず合皮系から始めるのがおススメです。
合成繊維系
メリット
- 天然素材と比べると安価なため、商品の値段も安く、気軽にソフトSMにチャレンジできる
- 色や形のバリエーションが多く、好みに合わせたグッズ選びができる
- 引っ張る力に対して強く、また軽量
安い・軽い・丈夫 と三拍子揃った合成繊維系はSMとまでは言わずとも、『普段よりちょっとエッチなプレイがしてみたい』といった気分の時にとても重宝します。初心者~ソフトSM程度のプレイまでを楽しむならこの素材のアイテムがいいでしょう。見た目もファッションアイテムとして使えそうなものからアダルト臭さのないシンプルなつくりのものもありますので、踏み込んだプレイをしたことがない方でも取り入れやすいのが特徴です。また、上記の素材特性から他の合皮系・本革系では作るのがなかなか難しいような個性的な拘束具もあり、様々な色・形から選ぶことができる素材でもあります。
デメリット
- 安く生産できるため、簡単な作りのものもある
- 素材の特徴上カジュアルな見た目のものが多く、本格的にSMをされる方にはあまり向かない
いいこと尽くめのような合成繊維系ですが、素材自体に高級感がないためか留め具や連結部にプラスチックを使われていることも多く、全体的におもちゃのような作りの商品が多く見られます。また、生地自体にはある程度の耐久性がありますが、こうした留め具部分が破損してしまうこともしばしば。カジュアルに使うことに長けており、一部はハードなプレイ向けに作られたものもありますが、SMプレイ独特の淫靡な雰囲気を楽しみたいのであれば合皮もしくは本革製のものを使ったほうがよいでしょう。
オススメグッズ
メンテナンス&保管方法
合成繊維系は水気に強く、折ったり曲げたりする力にも強いので水気や汚れは簡単に処理することができます。汚れは濡らしたふきんで拭き取ったあと、から拭きしてあげればOK。湿度や気温などもあまり気を払う必要はありませんが、接続部にプラスチックを使用している場合は力をかけすぎると折れてしまうことがありますのでご注意を。
合皮系
メリット
- 人工的な素材を多く使うため製作がしやすく、また価格も比較的安価にできる
- 本物の革に近い質感を持っているので、SMの雰囲気が楽しめる
- 水に強く、お手入れも簡単
合成繊維系と同じ素材を使用し、本革のような見た目を持った合皮系。安くカジュアルに楽しみつつもSMプレイならではのハードな雰囲気も多少取り入れたい、という初心者から、一歩抜けたライトユーザー~経験者に人気を集める素材です。構成素材が合成繊維と同じなこともあり、価格帯も広く設定されていてお財布とニーズのバランスが取りやすいアイテムが多いです。本革系と異なり水分に強く、軽量。合成繊維系のように汚れが織り目に入り込んでしまうこともないので汚れても拭き取るだけ。使用後のケアも非常に簡単なのが特徴です。
デメリット
- 耐久性がなく、持っても数年でぼろぼろになる
- 通気性に欠け、装着している部分が蒸れてくることも
- SMの雰囲気は楽しめるが、本革のものには劣る
合皮系の最大の弱点はその耐久性。水に強く耐久力も高そうに思えますが、素材特性上経年劣化が早いという特徴があります。特にポリウレタンの耐久度は持って数年とされ、使う頻度によってはあっという間に表面が剥げぼろぼろに。ベースの織布が無事でも、これではまともに使うことはできないでしょう。ポリ塩化ビニールを使用している場合は保管状況によっては接触面が張り付いたり、相性が悪いと溶けてしまったりすることもあります。またナイロンや本革と異なり表面に穴がないため通気性が悪く、直接肌に触れるものだと装着し続けているうちに蒸れてくることも。水気には強いですが高湿度に対しては劣化を早める原因になりますので、通気性のよい不織布や布袋に入れて保管をするのが好ましいでしょう。
オススメグッズ
メンテナンス&保管方法
水気・汚れに対しては強いので、タオルなどでふき取ってあげるだけでOK。ただし何度も折ったり曲げたりすると、付加のかかる部分からコーティングに亀裂を生むことがありますのでなるべく優しく扱いましょう。保管時は構成素材によってコーティング部分が溶けたりくっついたりすることがありますので、通気性のある不織布のような袋に入れて保管しましょう。丁寧に取り扱っていても、表面の耐久性には乏しいため合成繊維系・本革系と比べ早い時期でぼろぼろになってしまうことは覚悟しましょう。
表面劣化の早い合皮系ですが、言い換えればプレイを受け入れてくれるかどうかの判断材料にしやすいということでもあります。まずはお手ごろな「SMっぽいの好きですか?ライトSM 3点セット」でプレイを提案しつつ、興味を持ってもらえるなら「ハイブリットスタイル」などより実戦的なアイテムにチャレンジ。さらにそこから本革系へと移行するのもいいでしょう。
難色を示されてしまったら「小悪魔セット・ゴシック」「アニマルきゃっち」などのライトなグッズに切り替えていくのがよいと思います。もちろん低価格の合成繊維系からステップアップしていくのもよいですが、簡単な作りな分、意外と耐久性がありますので、なかなか他のアイテムに切り替えるタイミングを失いがち。そういった転機を作る意味でも、導入はお手ごろな合皮系アイテムから始めるのをおススメいたします。
本革系
メリット
- 非常に頑丈
- 使い込むほどに使用者に馴染み、次第に独特な味が出て、唯一無二のアイテムになる
本物の動物から採取された素材なだけあり、合成繊維系・合皮系には持ち得ない気品と堅牢さを兼ね備えています。革に厚みのあるものははじめ硬さを持っていますが、使い込んでゆくうちにすこしずつ柔らかさを持ち始め、肌から出る汗や油を吸ってゆくうちにあなただけの風合いを持ったアイテムへと変化していきます。細かな傷は付きやすいですが、それらは行ってきたプレイの証として、愛着を持てるようになるでしょう。
デメリット
- 重い
- 高額なものが多い
- 水に弱く、使用後のケアやメンテナンスは必要
経年劣化や引っ張る力への耐久性はとても高い本革ですが、水が最大の弱点。そのため使用後にケアをしないとシミになったり、そこから腐食し始めたりすることもあります。また、革には定期的に油の補給が必要になります。頻繁に使用される場合は身体から出る油分である程度補えますが、使用間隔が開いてしまう場合はオイルを塗ってあげる必要があります。また、頑丈な素材で頑丈に作っているものが多いため合成繊維系・合皮系と比べ少々重さがあり、お値段も高額なものが多くなります。初心者が手を出すには様々ハードルが高い本革系ですが、パートナーとの信頼関係の上に成り立つのがSMプレイ。相手への気遣いだけでなく、扱うグッズにも信頼の置けるものを選び、手間ひまをかけてあげることが大切ではないでしょうか。
オススメグッズ
メンテナンス&保管方法
日常のメンテナンスとしては固く絞った布で拭き取るか乾拭き程度でOK。また汚れが付きにくいよう加工が施されているものもありますので、少々水にぬれてもすぐにふき取って通気性のよい暗所で乾かせばそこまで神経質にならずとも大丈夫です。しかし、濡れたまま放置してしまうと腐食やシミ、水分によって革から油分が抜け切るとひび割れ・劣化の原因となります。焦ってドライヤーなどで強制的に乾かそうとすると革が硬くなり、ひび割れを生むことになりますので止めましょう。
頻繁に使用する場合は、人間が持つ油分によってある程度補給されますが、使用頻度に大きく間を開けてしまう場合はオイルを塗って補給してあげましょう。水分がしみてしまった場合は乾いたタオルで箇所を包み、通気性のよい暗所でじっくりと乾かしてからオイルを塗りこんでください。塗りこむ際はオイルを沢山塗り過ぎないように注意しましょう。
一回に塗りこむ量は小指にちょんと乗るくらいで充分。よく布に馴染ませ、薄く広げていくように塗っていきましょう。塗ってすぐは油が浮いているように見えますが、時間が経つと馴染んで落ち着きます。最後には乾拭きをしてあげましょう。
革製品のメンテナンス・油分補給にはミンクオイルと呼ばれる油がよく使われます。毛皮で有名なイタチ科のミンクから採取された油は、硬くなった革を柔らかくするのに適しています。しかし商品によって合成油脂やロウのほうが多く配合されていることがあり、それが逆に革の劣化を招くこともあります。
そこでおススメなのが馬油。馬油はスキンケアにも用いられることもある肌馴染みのよい油であり、もちろん革のメンテナンスにもぴったり。こちらの馬油は純度100%で余計なものは入っておりません。麻縄のメンテナンスにも用いられますので、本格的に行われる方には特にお勧めです。
SMグッズに深く興味を持っていくうちに、気づくと様々なメーカーの様々なアイテムを持っている……ということもあるかと思います。手枷は「虜X」、首輪は「紅椿」……など、確かに行えないことはありません。しかし、プレイの際に様々な素材・メーカーのアイテムを混在させて使うのはできるだけ避けたほうがいいでしょう。グッズによって作りや使用素材が異なるということは、それぞれの耐久力も異なるということ。同じように負荷をかけるプレイをしている最中でも片方だけ破損してしまう、ということが起こりえます。特に拘束具同士をリングやチェーンで連結するプレイを行う際には怪我の元にもなりかねませんので、同シリーズで揃えて行うようにしましょう。
また、拘束具を同じシリーズで揃えると統一感があります。見栄えも大切なプレイの要素の一つですよ。
材質で変わる!? 縄のアレコレ
拘束具として用いられるものの代表として忘れてはいけないのが縄。一般的にSMで使われるものと言えば麻縄が知られていますが、なぜ麻縄でプレイを行うかをご存知でない方も多いはず。ここでは主に拘束に用いられる麻縄・綿縄・シリコン縄・ボンデージテープの4種類についてご紹介いたします。
麻縄
綿縄
シリコン縄
ボンデージテープ
このとおり、素材が異なるだけでそれぞれのプレイに与える影響や雰囲気がガラリと変わるSMグッズ。『最近マンネリだから、何か使って変化を付けてみよう』と一人で考えてしまうのではなく、マンネリだからこそ、お互いに商品を見ながら話し合ってグッズを選んでみて欲しいと思います。ちょっとした変化で新鮮なひとときが楽しめればよし。SMの魅力を知り、その世界へ深くのめりこんでいくのもよし。その際はお供としてマニュアルやガイドなどを用意しながら取り組めば、より円滑にプレイを楽しんでいただけることでしょう。