なわとロープと結びの方法。

人の数だけ、カップルの数だけ、セックスライフの趣味嗜好は千差万別、それはもう色々と存在することと思います。そんな中でも、特殊な知識と技術を求められるプレイがあります。そう、SMです。

一言にSMと言っても更に細かく分類されていくわけですが、まず一般的に想像されやすいSMのイメージというのはやはり「縛る」プレイではないでしょうか。一般的に想像されやすいというのはつまり、その道に詳しくない=初心者が興味本位で手を出しがちということになります。

しかし素人がなんとなくぼんやりしたイメージのまま人の体を縛りあげるなんてまず無理です。ゴミに出す雑誌を縛るみたいに簡単にはいきません。なんと言ってもプロが存在する世界なのですから。スポーツのルールがプロアマ関係なく共通しているように、プレイを成立させる為には「縛り」にも最低限知っておかなければならない事があります。

ではその最低限知っておかなければならないことを知る為に、ここで一冊の本を紹介させていただきたいと思います。
黒やレザー素材のハードなビジュアルのグッズがひしめく店頭SMコーナーにおいて、ポップな表紙が異彩を放つ一冊。それが今回紹介させていただきます「なわとロープの結びの方法。」です。

女児向けではない、明らかに大きいお友達向けのルックスの魔法少女風のキャラクターが描かれた可愛らしい表紙デザインはSMにありがちな「怖い」イメージから遠くかけ離れており、初心者が気軽に手に取りやすいものになっています。

帯には「まるで魔法のような結びのテクニックを教えます♥」と内容の充実度を期待させる一文が。ところでこの帯から察するに表紙の女の子は魔法少女風のキャラではなくて魔法少女キャラなのでしょうかね。

魔法少女に導かれいざ「縛り」の世界へ!表紙をめくって最初に目に飛び込んでくるのはフルカラーのコミックページ!おお、文字ばかりの本を読むと目眩がする呪いがかけられている自分にはとてもありがたい構成。 しかしコミックの内容は縛りとは関係のない表紙キャラの紹介。むすびちゃんという子だそうです。プロフィールにはスリーサイズの記載あり。

そしてようやくの本編、なんと「ひとえ結び」からの解説。紐で輪っかを作りその中に紐の先端を通して作る基礎中の基礎の結び方ですね。やはり何事も基本が大事!ここを押さえているあたりこの本なかなか期待ができそうです。そこから始まり、全編見やすいイラストでわかりやすく色々な結び方を、各章の合間にむすびちゃんのコミックページをはさみながら解説していってくれます。

「暮らしの中で役に立つ結び」の章では荷造りに便利な結び方、ザイルワークなど登山やアウトドアワークが趣味の人にもオススメしたい結び方が登場。さらには釣り針の結び方、タコツボの結び方、漬物桶の結び方、わらじの緒のかけ方etc、最終的には●●●結びなんてものまで・・・いいのかコレ。とにかく古今東西これでもかと「結びのテクニック」を解説。

はい、ここまで読んでようやく気づきましたがこの本、SMの「縛り」については書いてくれていない!100種類近くの結び方について記載されていますが「縛り」に関することは皆無。
あっ、「縛り」じゃなくて「結び」って散々俺自分でも言ってるじゃん・・・

申し訳ございません。
長々と読んでいただきましたがこれから「縛り」プレイを始めたいという方にはこの本はオススメできません。

荷造りが苦手という方、趣味でアウトドアを始めたいという方、日常的にわらじを使用されている方にはオススメです。あとむすびちゃんのコミック作画を担当されているいちはやさんのファンという方にも。

っていうかなぜこの本がSMコーナーに置いてあるんだ・・・
どういうことですか店長。
(立川店スタッフ)